2020年1月号掲載「宮古島の狩俣に住んでいる神女(シンジョ)」

2019/12/31



■ 下地 克子 さん
NPO法人マーズ「くこりもや」所長


忘れられゆく祭祀、伝統行事を守りたい

みなさんは宮古島の狩俣地区に、多くの伝説や史跡、祭事があるのをご存じでしょうか?今回は狩俣地区の祭事、伝統行事を取り仕切る神女であり、NPO法人マーズ「くこりもや」の所長をされていらっしゃる、下地克子さんをご紹介します。

■狩俣地区の代表的な祭祀は?
狩俣には古い歴史があり、伝統的な神事が一年に約60回行われていました。有名なのは夏のナツブーイ(夏穂祭り)と冬のウヤガン(祖神)祭で、二大祭祀と呼ばれています。ウヤガン祭は、二〇〇一年頃から行われなくなりました。現在も行われている祭祀は、旧正月、竜宮ニガイ、ナツブーイ、十五夜の四つになります。
ウヤガン祭は、10月~12月にかけて行われ、主に御嶽(ウタキ)内部で神女(神役女性)のみで、山籠もりをし、神歌を謡います。そして神役の女性に神が憑依し、集落を練り歩くことで、村へ豊穣をもたらすとされています。御嶽内部での具体的な祭祀内容は地区の人にも秘され、誰であろうと見ることも許されず、家族にも話してはいけないとされています。竜宮ニガイは、神女によって龍宮の神様に航海安全を祈願する祭りです。十五夜は豊年祭です。東西に分かれて大綱引きをします。狩俣地区の一年を、西は「豊漁」東は「豊穣」をかけて綱を引きます。子供エイサー、大綱引き、子ども達へのお菓子のばらまき、クイチャー(宮古島伝統の手踊り)等が行われます。大綱引きは勝利した方が負けた方の陣地に、神輿で自慢げに練り歩く、他では見られない伝統もあります。旧正月は、集落の始祖神を祀る祭場「ウプグフムトゥ(大城元)」で初詣をします。後継者不足や、少子化、人々の考え方の変化などで、多くの祭祀、伝統が途絶えてしまっています。狩俣に限らず、私達の先祖達がたくさんの思いを込めた歴史をどうか忘れないで欲しいです。

■狩俣地区の祭祀に対する思いをお聞かせ下さい。
地域の存続に祭祀は無くてはならないものだと考えています。約400年続いていた伝統ある行事が、現在は途絶えています。狩俣を活性化させる為、地域の繋がりや、伝統の継承、人々の心の拠り所を作る為に、祭祀を復活させていきたいと思っています。時代の流れで、昔とは同じようには行えませんが、より近い状態で多くの祭祀を復活出来たらと思います。

■狩俣地区について教えて下さい。
狩俣は宮古島で最も歴史深く、地元愛の強い地域だと思います。その歴史は何百年も前から伝わる神歌により口承されています。狩俣はクバラパーズという渡来人が来て、城郭集落を形成したと伝承されています。現在もその名残が狩俣集落内で見ることができます。集落入り口にあるトゥーリャ(石門)です。現在のトゥーリャは、再建されたもので、以前は車が通れない程の狭い門だった為、戦後間もなく取り壊し、その南側に大きな門を建てました。それが現在のトゥーリャです。その他にも先祖の思いが込められた、史跡や伝統がたくさん狩俣には残っており、私たちはこの宝を後世へ残していかなければなりません。狩俣には地区の人ですら、決まった日にしか入ることができない神聖な場所がいくつもあるので、注意して下さると幸いです。

■「くこりもや」は、どのような施設でしょうか?
障害の程度に関係なく、一人ひとりを尊重し、働くことを通して生産活動と経済活動に関わり、利用者一人ひとりが暮らしの力を獲得できるよう援助するとともに、個々の可能性が最大限に発揮できるよう支援することが目的の施設です。また、作業を通じて職業訓練をするだけでなく、生活リズムの獲得・仲間づくり、日中の居場所としても機能を果たすような施設づくりをしています。主にマンゴー農園の、「ゆぴと農園」での作業や、カフェスタッフ、キーホルダーやカバンの作成等を行っています。私がイチオシのキーホルダーは、月桃を栽培から始め、乾燥させ、紐を編んで作ったり、カバンは牛乳パックの素材をリサイクルして作成する等、自然に優しく、宮古島らしさを生かしたアイテムを作成しています。

■今後の目標を教えて下さい。
カフェにて、ゆぴと農園で採れた自慢の完熟マンゴーを使用したマンゴージュースを主に販売していますが、今後はメニューを増やしていきたいと思っています。宮古島でしか飲めない、「ある飲み物」とタピオカを組み合わせたオリジナルドリンクや、島野菜の甘さを生かしたぜんざい等を提供したいと思っています。宮古島の食材にこだわり、宮古島をもっと盛り上げていきたいです。

狩俣地区の歴史はとても深く、ほんの少ししかご紹介できませんでしたが、ゆぴと農園さんに行けば下地克子さんのお話が聞けるかもしれません。
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