2020年5月号掲載「宮古島の美しい自然を色にしたい」

2020/04/30



■ 藤﨑 新 さん
紅型作家 那覇市壺屋出身


琉球藍染めが美しい宮古上布に惹かれて

紅型とは沖縄ならではの独特な色彩と図柄が美しい織物です。今回の島の人は紅型の図案から染めまでを仕上げる紅型作家の藤﨑 新さんを紹介します。

■紅型作家になられたきっかけは?
元々親が紅型工房をしていまして、父親は紅型作家、母親は陶芸家という家に生まれました。沖縄陶器のやちむんで有名な壺屋ですから親族も、周りも、物づくりをする人しか見て来なかったので、自分が物づくりをするのは当たり前のことと思っていましたが、陶芸にしようか、紅型にしようかと決めきれずにいました。高校を卒業して、オーストラリアに留学した時、アボリジナルアートに出会いました。オーストラリアの先住民アボリジニの絵画表現ですが、地図とか生活の様子が点描で描かれています。アボリジナルアートは絵画表現というより先住民は読んだり書いたりと文字が無いので、コミュニケーション手段として使われていたそうです。、そのアボリジナルアートを見ていくうちに紅型で色んなものを表現したいと思いました。

■宮古島に来たきっかけは?
オーストラリアから戻って来て、壺屋から沖縄本島北部、やんばるに工房を移した父のもとで染めを習い始めました。やんばるの伊豆味は藍染めの原料になる藍草の栽培が盛んで、僕も藍染めに興味を持ち畑で栽培をしていました。藍染めは沖縄本島より宮古、石垣が有名ですが、じつは宮古島では土が合わず藍草は育ちません、宮古上布に必要な藍草は伊豆味から仕入れています。僕は伊豆味の藍草で染めた上布を実際に見たくて、宮古、石垣を訪れました。そして琉球藍染の美しい宮古上布と宮古島の自然の色に惹かれました。僕は末っ子で工房は兄が継いでいたので、独立のタイミングもあり、自分の好きな場所で制作活動をしたいと思い移住して来ました。

■宮古島でどのような活動をされていますか?
ほとんどの作品は下里通りの「WEATHER PERMITTING OKINAWA」で販売させていただいています。今年は宮古島の泡盛酒造所「多良川」さんより干支ボトルのラベルデザインの依頼が来ました。SNSで僕の作品を見ていただいたようです。宮古島の特産品マンゴーを抱えた丸々と太ったねずみのお腹には吉祥文様の鼓柄が施されたデザインになっています。また、今はフクギの樹皮を染料にしたフクギ染にも力を入れています。フクギは昔から防風林として親しまれてきた木ですが、染料としても使われてきました。とても美しい黄色、福の色が出るので、紅型の地の色としても重宝されてきました。退色しやすい染料なので何度も試行錯誤し、退色を抑え、染めぐあいでグラデーションを出し、様々なデザインが仕上げられるようになりました。洋服やショール等身に着けるだけではなく、タペストリーやクッションカバーといったインテリアにも活用できます。紅型も同様、オリジナルのデザインができます。

■今後の目標は?
今の目標は日本工芸会の工芸展で賞を取りたいです。去年挑戦したのですが、染めの最後の工程で失敗してしまいました。今年は時間的に無理があるので、来年以降、受賞するまで挑戦します。宮古島で縁があってようやく工房を持つことが出来ました。作業に適した、集中できる工房です。ここを拠点に活動の幅を広げていきたいです。宮古島の美しい自然、美しい色はとても価値のあるものです。その色を表現し、将来的には染めに活用できる色見本を作りたいです。宮古島に密着したデザインや作品を生み出していきたいです。

自然風が通る、優しい日差しが注ぐ工房での取材でした。藤﨑さんの生み出す美しい作品は、この工房からたくさんの方に幸を届けることでしょう。