2018年3月号掲載「日本伝統文化〝茶道〟を世界に発信」

2018/02/27


■渡真利 ひとみさん(宮古島市平良出身)
花鳥風月 茶道裏千家
平良宗幸教室 助講師

一期一会のおもてなし

現在では宮古島を訪れる観光客の約 %が海外からのお客様ですが、南国の小さな島で日本の文化を体験していただきたいと奮闘している茶道裏千家『花鳥風月』の渡真利ひとみさんを取材して来ました。

■海外の方に日本文化を伝えようと思ったきっかけは?

母が十数年前から島で茶道教室を開いていて、総合実業高校の生徒さんに教えたり、産業まつりでお茶と和菓子を提供するなどの活動をしていますが、敷居が高いというイメージがあるようで島の方に興味を持ってもらえない現状があります。私は五年前に島に戻って来たんですが、三年ほど前からクルーズ船が来島するようになり、海外からのお客さまが増えました。その方達が商業施設の外で時間を持て余している姿を目にすることが多くなりました。宮古島(本国より一番身近な日本)をもっと楽しんでいただきたいと思っていたところ、マスコミ等で訪日観光客の方がショッピングから体験型に移行していると知りました。宮古島はマリンレジャーが主流ですが、観光アクティビティーに幅があってもいいのでは?せっかくなので日本文化に触れる機会があってもいいのでは?と思い茶道と浴衣の着付けを体験してもらおうと始めました。

■受け入れてみていかがでしたか?

受け入れるまでは正直大変でした。想定外のことが多く、各窓口へ足を運び、調整を重ね、私自身も試行錯誤を繰り返しながらアドバイスを頂き、より良い方向へと解決策を学び前進中です。改善点もまだ多くありますが、周囲の方々の協力を得て、少しずつ、ひとつずつ形になっていくことを望んでいます。よくSNSで訪日観光客のマナーの悪さが話題になりますが、海外の方にそれはマナー違反だと伝えると「教えてくれてありがとう」と言ってくれます。ゴミをポイ捨てせずにポリ袋に入れて持って来て下さいと言うとちゃんと持って来ます。それを回収する活動もしています。島の人達との相互理解もこれからの中、マイナスのイメージを持たれて残念な発言をされ、落ち込んだことも多々あります。体験していただいたお客様は喜んで帰られます。お茶に由来する言葉で一期一会という言葉があります。私はその言葉が大好きで、たった三~四時間の出会いですが、お客様と一緒に楽しむという気持ちで毎回お迎えしています。客層は幅広く0歳から最高齢は95歳の方もいらっしゃいました。三世代、四世代の家族連れの方がほとんどです。台湾では70歳以上の方は日本語の教育を受けていて高齢になればなるほど日本語が堪能ですが、言葉の壁を越えて心で感じ合える事もたくさんあります。中国の方々も日本語を学びたいと感謝の言葉や生活習慣などを尋ねてきます。お互い覚える外国語が感謝の言葉というのは嬉しいです。茶道を体験する前に浴衣を着付けし写真撮影を楽しんでいただきます。その時は大声で笑い合いふざけ合うんですが、先生のお点前がはじまると、ほとんどの方が静かにお点前を見学します。こちらから静かにしてほしいとは一回も言ったことがないんです。皆さんきちんと体験して下さいます。そんな方々に楽しい思い出を持って帰ってほしいと思います。


■今後の展開を教えて下さい

台湾からのお客様も大勢いて帰国後SNSでのやりとりが続いている方も一部います。その中で先月の台湾での震災は大変気になります。台湾での余震も続いている事から状況が落ち着き、寄付金受付窓口が明確になれば「チャリティーお茶会」を催し、収益金の寄付を考えております。少しでも力になりたいと計画中です。
今後ますます海外からのお客様は増えます。来ていただいた方に島を楽しんでいただくことが大切だと思います。「おもてなし」とは裏表のない心からの接客という意味合いもあります。素直に相手を受け入れたいという雰囲気は伝わるようで、相手も同調してくれます。そこからお互いを理解することも可能です。去年一年間茶道体験にお越し頂いたお客様は、私個人の感想ですが、そう感じる事が良くありました。感謝です。

渡真利さんは「あなた本当に日本人?」と聞かれるほど陽気にお客様を迎えられるそうです。島を訪れる方を差別無く、一期一会の心を忘れずにもてなす、その気持ちを見習いたいと思いました。