2015年3月号掲載「宮古島の在来種にこだわる」

2015/02/26


(有)農業生産法人 宮古流通企画 代表
体験農園畑番屋(パリバンヤ) オーナー 川満 健一

懐かしい島の味を思い出させる

今回は、宮古島の野菜や草花の在来種の保存に尽力し、農業生産法人を経営しながら体験型農園を提案する『体験農園畑番屋(パリバンヤ)』のオーナー川満さんを取材してきました。※パリは宮古島方言で畑の意

■川満さんが島の在来種にこだわるのは?

 今から三十年前の昭和六十年、第一回トライアスロン大会が開かれたのと同時に第一回観光シンポジウムが行われ、沖縄本島にあった三越で物産展を開いたとき、ディスプレイとして飾ってあったグミの実(宮古方言でザウカニ)を見て来店された宮古島出身の人たちが『懐かしい、懐かしい』と感銘する姿を目にし、離れて故郷を思う気持ちは幾つになっても変わらないと強く感じました。あの時の思いは今も心にあります。宮古島は農村整備事業や観光地の開発でたくさんの自然が失われました。除草剤の散布により畑周りの野草や花も枯れ、中には絶滅にひんしている在来種もあります。その在来種を守りたいという思いで農園を始めました」

■幼少期と今の宮古島の変化は?
 
 僕は幼少期は下地の川満で過ごしました。馬に乗り川満のマングローブまで当時ペットとして飼っていたサシバのエサだった稚魚を捕りに行ったり、学校帰りには沖糖(沖縄製糖工場)横の池に飛び込んでエビやウナギを捕って食べました。昔は農薬を使っていないので何も気にせず口にしました。お腹が減れば野イチゴやポー(和名:クロイゲ)やザウカニを摘んでは食べました。当たり前のように自然に触れることが出来たんですが、今の子供達に野イチゴの話をしても見たことが無いと言われます。島の子供達や島を訪れる観光客の方々に昔の宮古島の自然を体験してほしいと思います。」

■体験農園畑番屋とは?

 畑番屋には三か所の農園があります。一つは奇跡の野菜と言われるモリンガを中心に宮古島在来種の芋類や野菜が植えられた農園です。野菜の収穫を体験でき、収穫した芋をその場で焼き芋にして食べたり、モリンガ茶やローゼル茶が楽しめます。二つ目は絶滅危惧種の野草を中心に植えてあります。僕らが小さい頃に食べたポーや野イチゴ、ザウカニを見たり食べたりすることが出来ます。三つ目は花とハーブとミツバチが中心になります。伊良部大橋と伊良部島を眺めることができる農園でゆったりと自然を楽しむことが出来ます。今では島の人たちも見ることが少なくなった自然を体験することが出来ます。
 僕は宮古島の農業と自然を観光とリンクさせていきたいのはもちろんですが、島の人達にも懐かしい島の自然に触れ合い自然の大切さを思い出してほしいと思います。

■宮古島の養蜂について

 僕が養蜂を始めたのは約十年ぐらい前です。沖縄本島の山原まで行き、学び、始めました。養蜂家の数も徐々に増え今では十数件になり、約一年前に養蜂組合が出来ました。みんなで蜜源植物を植える活動等をしています。サンゴ礁からなる宮古島の土壌はミネラルが、特にカルシウムが豊富でそこで育った花の蜜からできたハチミツは栄養価が高くとても美味しいと言われています。
数が少ないのであまり市場にならぶことはないんですが・・・
妻が経営するやさいカフェでは自家農園で収穫した野菜やハーブを使った料理やお茶を提供しています。四季折々の花々や食物を、自然の恵みを感じながら頂いてほしいと思っています。

取材前に農園を案内していただき、私も小さい頃に食べた野イチゴを見てとても懐かしく、感慨深いものがありました。子供の頃に遊んだ原野を島の風景を思い出させていただきました。