■遠藤 大雅さん
宮古島ピッツァバル 代表
本場の技術を宮古島の未来へ
皆さんは宮古島で本格ピッツァが食べられるのをご存じですか?京都をはじめ関西の名店で修行を積み、ナポリで開催された世界選手権にも日本代表の一員としての出場経験を持つ、宮古島ピッツァバルの遠藤さんにお話を伺ってきました。
■これまでの経歴やピッツァ職人になったきっかけは?
九州・大分県で生まれ、幼少期に両親の仕事の都合で京都へ移り住みました。両親が芸術家だったこともあり、その影響からか、幼い頃から物を作ることが好きでした。自分の手で何かを作り、それを形にする。そんなことが、子どもの頃から自然と好きだったのだと思います。これまで約20年間、サービス業に携わってきました。その中でピッツァ職人を志してから11年、ナポリピッツァの技術を追求してきました。京都をはじめとする関西の名店で修行を重ね、その後、イタリア・ナポリに本部を置くナポリピッツァ職人協会(APN)の認定店でも修行。本場のナポリピッツァの技術や文化を学びました。さらに、世界最大規模のナポリピッツァ職人世界選手権に、日本代表チームの一員として出場しました。そんな中、旅で訪れた宮古島の豊かな自然、ゆったりと流れる時間、そして島の人たちの温かさに惚れ込み、「ここで暮らしたい。ここでピッツァを焼きたい」という思いが強くなり、2021年に宮古島へ移住しました。
現在41歳。これまでさまざまな経験をしてきましたが、これからの人生は、自分の心が選んだ宮古島で、大好きなピッツァを焼き、それをたくさんの人に届けていきたい。幼い頃から好きだった「物を作ること」それが今は、ピッツァという形になりました。そんな思いで、この島でピッツァ職人としての人生を歩んでいます。
■お店の紹介をお願いします。
宮古島はリゾート地ということもあり、観光客向けの飲食店が多い一方で、島で暮らす人が一人でも気軽に立ち寄って外食を楽しめる店は少ないと感じていました。だからこそ、当店はカウンター10席のみ。肩ひじ張らず、一人でもふらっと立ち寄っていただける店を目指しています。本場ナポリでは、ピッツァはもともと安く、速く、そしておいしく食べられる大衆食。だから当店も、パスタなどのメニューはあえて置かず、ピッツァ専門店として、一枚一枚を目の前で焼き上げています。生地を伸ばし、具材をのせ、窯へ入れる。目の前で一枚のピッツァが仕上がっていく臨場感もカウンターならではの楽しみです。食材にも妥協はありません。宮古島産とイタリア産、それぞれの良さを見極め、こだわりを持って選んでいます。本場の食文化を大切にしながら、宮古島で手に入る素晴らしい食材も取り入れる。そんな考えから生まれたのが、オリジナルブランド『ミヤコピッツァ®』です。ナポリにはナポリの食文化があり、宮古島には宮古島の自然、食材、人、文化があります。宮古島の海塩と硬水をベースに、宮古島産とイタリア産の食材を厳選。これまで培ってきたナポリピッツァの技術と掛け合わせ、試行錯誤を重ねてきました。「ナポリのコピーではなく、宮古島でしか生まれないピッツァを作る」それが『ミヤコピッツァ®』に込めた思いです。そして、自分がこの島で店を続ける上でもう一つ大切にしているのが、「次の世代へつなぐ」ということ。自分自身、日本を飛び出しイタリアで技術や文化を学び、さまざまな経験を積んできました。だからこそ、外から持ってきたものを島の中だけで終わらせるのではなく、これから宮古島を飛び立っていく子どもたちへ繋いでいきたいと思っています。
■今後の目標は?
宮古島の飲食店や経営者は移住者が中心になっていると感じます。もちろん自分自身もその一人です。でもだからこそ、この島には外からさまざまな技術や知識、文化が入ってきているのだと思います。それを宮古島の子供達に伝え、次世代に繋いでいきたいと思っています。そしていつかそんな子供達が宮古島で活躍する未来が来て欲しいと思っています。
現在、当店では島の高校生3名がアルバイトとして働いてくれています。また、『小学生PIZZA体験教室』も開催し、子どもたちにピッツァを作る楽しさや食文化に触れる機会を届けています。今年はイタリアでオーダーした新しいピザ窯も導入する予定です。自分自身もまだまだ技術を追求しながら、これまで学んできたことを次の世代に伝えていきたいと思っています。いつか自分がこの仕事を引退するとき、宮古島出身のピザ職人が育っていたら、その子にこの店を託したい。自分が外から宮古島に来て始めた店を、いつか宮古島で育った子が受け継いでくれたら、こんなにうれしいことはありません。外から学び、宮古島で育て、次の世代へ繋いでいく。お客様にとって今日の一枚が心を満たし、働く人にとってこの仕事での経験が明日の糧となり、宮古島にとって、この店が未来に繋がる存在となる。お客様、働く人、そして宮古島。三方にとって良い仕事をすることが、この島で商売をする自分の責任だと思っています。
そしていつの日か、島の皆様に「遠藤さんが宮古島に来てくれてよかった」と思ってもらえるような仕事をしていきたいと思います。宮古島に来たこと、そしてこの島で出会えた人たちとのご縁に感謝しながら、これからも大好きなピッツァを焼いていきたいと思っています。
これからも宮古島の飲食業界を盛り上げてくれる一人として遠藤さんの活躍を楽しみにしています。皆さんも遠藤さんの技術や思いが詰まったピッツァを食べに足を運んでみてはいかがでしょうか?


