未来に紡ぐ島への感謝

未来に紡ぐ島への感謝

山名 ナミ(やまな なみ)さん

来間島自治会 役員
Maluna 代表
楽園の果実

来間島にいい事したい!

 宮古島の南西に位置する来間島、人口約150人の島ですが、今ではレンタカーや観光バスも増え活気に満ちています。今回はそんな来間島で生まれ育ち、活動する山名さんにお話を伺ってきました。

■現在の活動と経緯を教えてください
 最初は楽園の果実で商品開発や納品をしていました。といっても初めの頃は知識もなかったので、とにかく農家さんや納品先のホテルやお土産店などに通って、いろんな人の話や意見を聞いていました。そんな中、母の代わりに「みゃーくの味加工推進協議会」のメンバーになり、書類整理や商談会の業務に携わるようになりました。
 当時、いろんなお店や加工品を見ていて感じたのが、お土産やギフト商品のバリエーションの少なさです。ホテルやお土産店はたくさんできているのに、シーンに合わせた商品がないのは勿体無いと思いました。もともと楽園の果実でも加工品やパッケージについてやっていましたが、より自由に自分の好きな物を作るためにMaluna(マルナ)を立ち上げました。理念はシンプルで『島にいいことをしたい』です。
 マルナではMMM(宮古島未来物語)というブランドを作り、島に寄り添った商品開発に務めています。ひとつひとつの商品が生まれるのに生産者さんはいろんな試行錯誤をしていて、たくさんの工程がある、そこにはドラマチックな物語があると思うので、そんな背景を伝えていきたいです。また最近では来間島自治体の役員にもなりましたので、島の環境保全にも力を入れています。

■来間島の現状について
 ここ10年で観光業がすごく伸びました。特にウェディングやロケーションフォトが多くなったと感じます。ですが人が増えるとそれだけ問題も増えているのが現状です。交通事故も増えましたし、観光客が御嶽(うたき)に入ったり、ウェディングフォトやロケーションフォトの撮影で私有地に入ったりなど、島に来てくれるのはすごくありがたいことなんですが、島の人の大切なものや生活が危ぶまれることはあってはいけないと思います。
 そういった現状もあったので、私が所属しているウェディング協会に相談したところ、沖縄本島の恩納村の条例を知りました。恩納村は沖縄本島の中でもリゾートウェディングが人気の地区なので、昔からそういった問題が起こらないように観光協会と自治体が手を取り合って地域の保全活動を行なっているそうです。ロケーションフォト申請料の一部が自治体に協力金として支払われ、自治会が清掃活動をする、また撮影予約が入るという好循環ができているそうです。
 来間島自治会としてもこの活動をモデルにルール作りを進めてきました。島がきれいだから観光客は来てくれるし、ロケーションフォトもしてもらえる。自治体として島を守る活動をしていくので、島で活動する事業者も協力してほしいです。

■今後について
 昨年の11月1日から来間島でのロケーションフォトに関してはウェディング協会と来間島自治会で管理を始めました。始めてみて知ったのですが、こういったルールを事業者さん達も必要だと感じてくれていたそうで、それは撮影場所のバッティングや私有地かどうかの確認をどこにすれば良いか分からないなどがあったそうです。来間島でロケーションフォトをする事業者さんは今後ウェディング協会に申請をお願いします。
 今後はこの活動が来間島だけじゃなく、宮古島全域に広がると良いなと思っています。

 『島にいいことをしたい』という理念を様々な場所で発揮している山名さん、あまりメディアには出たくないとの事でしたが、今回は快く取材を受けていただきありがとうございました。

2024年1月号掲載